常識を疑い規格外に価値を見出す力
新たに事業を始めるとき、合理的な判断や市場分析は欠かせませんが、それだけでは他と差をつけにくい時代です。森水産が展開する魚の自販機は、流通に乗せにくい規格外のヒラメや普段使われない部位に目を向け、それを商品として届けることで、廃棄を減らし新たな価値を生み出しています。常識から外れた素材に可能性を見出す姿勢は、限られた資源を活かす上で重要です。また、直売所ではなく自販機という選択により、コストを抑えながら24時間販売が可能となり、人手不足の課題にも対応しました。事前の想定通りにいかない場面では、顧客の動きを観察し、反応から学ぶことが大切です。「売れると思ったが売れなかった」体験を無駄にせず、仮説と検証を繰り返すことで、次に活かせる情報が蓄積されていきます。最初から完璧な形を目指すのではなく、小さく始めて試しながら軌道修正を重ねていく柔軟な姿勢こそが、事業を継続させる土台になります。さらに、場所にこだわりすぎず、地元の敷地を活用して立地コストを下げる工夫や、通行人へのアピールとしてのぼり旗や看板を設置するなど、知ってもらうための仕掛けも不可欠です。