判断を導き信頼を得る伝え方の工夫
事業を始めようとする時、製品やサービスの良さを伝えることに力を入れがちですが、それ以上に大切なのが、相手の判断をどう導くかという視点です。たとえば、レポートや提案を出す際には、ただ提出するのではなく「図表を使い、前年比較を見やすくしました」と一言添えるだけで、相手はその視点を意識しながら中身を読み、評価が変わる可能性があります。これはプライミング効果と呼ばれ、人の認知や印象は直前の情報によって左右されるという心理の働きです。また、自分の提案を通したい時に「この案でよいですか」と聞くとNOの選択肢が出てきますが、「A案とB案ならどちらがよいでしょうか」と問えば、提案自体の是非ではなく、選択へと相手の意識が移ります。これは誤前提暗示と呼ばれ、判断軸を変えることで相手の反応を引き出す技法です。さらに、すべてを良く見せるのではなく、あえて欠点を伝える「両面提示」により信頼を得ることも重要です。「ここはやや不便ですが、逆にそれが静かさにつながっています」といった伝え方は、相手が納得して判断できる材料になります。