自分にこもらず視野を広げてシンプルに進む
事業を立ち上げる際、自分の内なる声に耳を傾けることは大切ですが、それだけに頼るのは危うい側面があります。「自分の心に従え」という言葉は一見魅力的に映りますが、内面の声は常に一貫しておらず、揺れ動くものです。内省に閉じこもることで現実から離れ、他者の視点を排除してしまえば、道を見失う危険があります。実際にスティーヴ・ジョブズも、はじめから情熱を持って事業に取り組んだわけではなく、周囲との関係や経験の中で方向性を見出しました。大切なのは、現実の中で動き、他者と関わりながら方向を探ることです。また、キャリアにおいては「広げること」よりも「削ること」が明確な道を作る場合もあります。あれもこれもと手を出さず、自分が向き合うべき領域を絞り込むことで、自分の軸が定まります。多様な可能性に惑わされるよりも、あえて選択肢を減らすことでシンプルに進む道が見えてきます。これは逃げや妥協ではなく、意識的な戦略です。事業に取り組む際には、自分の心の声に従いつつも他者と交わり、現実と対話しながら、何を手放し何に集中するかを見極めることが、着実に前に進む力となります。