問題の見立てと資源の再定義が道を拓く
事業を始めるときに重要なのは、目の前にある状況をどう捉え、何を問題とするかの「見立て」です。多くの人は「地域に資源がない」「夜にやることがない」「観光客が来ない」といった言葉を口にしますが、これは事実のようで実は主観的な解釈に過ぎません。問題は、状況そのものではなく、それをどう定義するかにかかっています。たとえば「夜に何もない」という観光地の課題も、「夜にこそニーズがある」という視点を持てば、星空観察やスナック街のツアーなどの新たな価値が見えてきます。大切なのは、自分にできることに焦点を当てることです。他人や環境は変えにくくても、自分の視点や考え方はいつでも変えることができます。
また、事業の種は特別な場所や時間にあるわけではありません。むしろ、活用されていない時間帯や誰も注目していない資源にこそ、潜在的な価値があります。観光施設の閉館後の時間や、早朝の農業体験、夜の果樹園のライトアップなど、既存のリソースを活かして組み立てた取り組みは、どれも無理なく実現できる内容です。他人が見落とす時間や空間、関係性を丁寧に見直し、そこに体験価値を見出そう